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「Webデザイン・コミュニケーションの教科書」の表紙カバーの画像

『Webデザイン・コミュニケーションの教科書 インタビュー』

筆者が本書を執筆する際に参考にさせていただいた、8人のワークスタイルをインタビュー記事にしました。

今回のお相手は、白石 俊平さん。
日本のWeb関連のコミュニティーの中でも精力的な活動を見せている「html5j」というコミュニティーの創始者で初代リーダーの白石さん。
現在はリーダーを交代して、これからはエンジニアの経験、そしてコミュニティーリーダーの経験を充分に活かしながら、何やら人の役に立つサービスをつくる側に転身されるそうです。
他の人では得られなかったコミュニティーリーダーという特別な経験なども活かしつつ、彼が見ている今後の日本の業界シーンなどについて興味があったので色々と話を聞いてみました。

今回のお相手:白石 俊平さん

「発注者の気持ちとしては『デザインをお願いしたい』んじゃなくて『ぼくらが抱える問題の解決を手伝ってほしい』ことなんだ、一緒に解決をするつもりで臨んでくれる人と仕事をしたい。」

白石 俊平さんの写真

白石 俊平

@shumpei
プロフィール
HTML5 Experts.jp編集長をつとめる傍ら、株式会社オープンウェブ・テクノロジー代表取締役として、Web技術のコンサルティングや受託開発、教育などに従事。
日本最大(6,000名超)のHTML5開発者コミュニティ「html5j」ファウンダー。
その他HTML5とか勉強会主催、Web先端技術味見部 部長など、Web先端技術に関する情報発信とコミュニティ活動を継続的に行う。
Google社公認Developer Expert (HTML5)、Microsoft社公認Most Valuable Professional (IE) 。
著書に「HTML5&API入門」(2010, 日経BP)、「Google Gearsスタートガイド」(2007, 技術評論社)など。監訳に「実践jQuery Mobile」(2013, オライリー)など。

秋葉:
白石さんってさ、HTML5コミュニティーとしては日本最大規模ともいえるhtml5jをつくった人ってイメージなんだけど、コミュニティーでこれだけ精力的に活動するようになるキッカケとは?

白石:
もともとぼくはJavaやJavaScriptを専門にするエンジニアだったんですが、2009年にGoogle I/OでHTML5が大々的に宣伝されているのを見て、HTML5に興味を持ったんです。
その時取り組んでいた「オフラインWebアプリケーション」(脚注.1)という分野の技術もすべてHTML5に取り込まれていたし、個人的にGoogleともお付き合いがあったので、Googleに「一緒にHTML5コミュニティを作らないか」と持ちかけて、html5jの前身である「HTML5 Developers JP」を立ち上げることになったんです。

500年先にも残るWebページ

秋葉:
以前のHTML5 Conferenceだったかな?基調講演だったと思うけど、白石さんが「収入はなくてもコミュニティ活動をやる!」みたいな話をされていたけど、そこまでする想いってなんだったの?

白石:
う〜ん、あんまり深くは考えてなかったなあ、勢いかな(笑)
それでもなんとかなってるし、というかね、人生一度っきりだしね、おもいっきり生きたい。
と思うのと、別の理由があって今多くの人に伝えたいことと言えばこれかな〜

秋葉:
伝えたいこと、というと?

白石:
CSSをつくったホーコン・ウィウム・リー氏がこんな言葉を伝えているんだよね。
「印刷物が普及して500年、私たちは紙面を開いて記事を読むという行動や体験を理解している。これと同じようにWebページは500年先でも読むことができ、ソースコードも読むことが可能だろう」

僕が思うに500年先、いや、もっと先の未来でもWebページが閲覧できる。そのためには単にHTMLで記述したらいい。
日本という国は誰でも好きなことを学ぶことが許されているし、Webは知識を得ることにそんなにお金はかからない。車や船の免許を得るために何十万円というお金もかからない。
だからもっと色々な人にWebとその周辺の技術について、触れて、学んでもらいたいという想いがあったんだと思うんだよね。

秋葉:
学習しやすいといえばそうだね、Webサイトってソースとか読めるから。
例えば他の人がつくった料理や洋服がどうつくられているか?を調べるよりもWebは恵まれているんだよね。ソースを見たらただで調べることができる。

白石:
うん、僕が以前から「世界で一番Web技術者コミュニティが活発な国、日本」をスローガンに掲げて、毎月勉強会を開いたりしているけど、恵まれた状態からさらに輪をかけて学びやすいコミュニティをつくりたかった。そして色々と勉強している人同士がつながっていけば多くの人が幸せになれると思う。そういう何かを残したかったってのもあるかな。

発注者が求めるデザイナー像

秋葉:
これからはどういう活動をしていくつもり?

白石:
まだはっきり言えないんだけど(それは秘密とかじゃなくて、単に漠然としているだけで)Web技術者向けのサービスとか考えているんだよね、どちらかというと経営者という立場になると思う。

秋葉:
じゃあ、発注側にもなるかもね。

白石:
あ、もう今でも割と発注側としてやってるんだよね。

秋葉:
じゃあ最後に、元エンジニアでこれから経営者になる白石さんの立場から、Webデザイナーに向けてどういうWebデザイナーと一緒に仕事がしたいか?聞かせてもらえる?

白石:
そうですね、ここ最近よく思うのが、「一緒に問題を解決する」というつもりで臨んでくれる人と仕事したいなあ、ということ。
発注者の気持ちとしては、実は「デザインの仕事をお願いしたい」んじゃなくて、「ぼくらが抱える問題の解決を手伝ってほしい」ってことなんだよね。
だから、「何をデザインすればいいのか?」と指示待ち、受け身になっている人よりも、「あなたが抱えている問題は○○ですね、私はその問題解決に××のようにご協力できます」と提案してくれる人のほうがありがたい。

秋葉:
同感ですね、じゃあ、新事業に期待してます!

白石:
また一緒に仕事しましょう!

対談を終えて

最後の白石さんの言葉はこの本(本書)で特に伝えたいことだったんですが、発注側となるご本人もやはりそう思っているわけですね。
言われた通りにつくるのはある意味簡単かもしれません、しかしそれだと誰でも替わりはいると思われても仕方がありません、デザイナーとオペレーターは違うものなのです。
白石さんは「問題を解決」という言葉を使いましたが、「こんな人たちにこのサービスを使ってもらえるための問題」をどう「解決」するか、を一緒に考えてほしいという企業や発注者は多く存在します。

新しい商品やサービスにはどんなものでも必ずデザインが必要だと筆者は考えます。
世界中の技術者に愛されているあのGitHubだって、あのキャッチーなオクトキャット(脚注.2)が成功への貢献に関わっているかもしれない、と思うと、デザインの力は侮れないなあとつくづく考えてしまいます。